注意欠陥多動性障害(欠陥という言葉のイメージがよくないため、
注意欠如・多動性障害と呼ばれることもあります)は、自
閉症スペクトラム障害などと同じ、発達障害の一種です。


「ADHD」と呼ばれることも多く、そちらの方がなじみがあるかもしれません。

 

注意欠如・多動性障害は、多動性、衝動性、不注意といった特性を持つ、行動上の障害です。


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集中力や行動、衝動をコントロールする脳の働きが弱いといわれています。

 
注意欠如・多動性障害を含め、様々な発達障害の原因は、いまだ不明です。


生まれつきの脳の機能障害であり、その特性は成長や訓練で
マイルドになることはあっても、完治しないといわれています。


しかし、医学や技術の進歩により、少しずつ要因が解明されつつあります。


 
注意欠如・多動性障害は、生まれつきの脳の性質、脳の発達のアンバランス、
環境、遺伝など、様々な要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。
 

画像診断の技術の向上により、注意欠如・多動性障害の人では、脳の前頭前部、
尾状核、淡蒼球、小脳虫部といった部分が、健常者よりも小さいことがわかってきています。


 
また、ノルアドレナリンやドーパミンの働きが低下しており、
そのために脳の覚醒レベルが低く、集中力が落ちてしまっていたり、
脳を起こそうとして体を動かし、多動の症状が出ると考えられています。

 
注意欠如・多動性障害の人が周囲にいたり、その当事者である場合、
「遺伝」について気になることと思います。

現在、遺伝についてはまだ研究の段階であり、
はっきりとした答えは出ていません。
 

しかし、家族内に注意欠如・多動性障害の人が存在する場合も多いこと、
養子や双生児の比較研究から、遺伝的要因が否定できないといわれています。



また、神経シナプスの刺激の伝達に関わるいくつかの遺伝子が、
注意欠如・多動性障害を引き起こすカギとなっていることが考えられています。


【注意欠如・多動性障害(ADHD)の遺伝確率】



・両親が2人ともADHDである場合、その子供がADHDである確率は最低でも20%
・兄弟にADHDの人がいる場合、ほかの兄弟がADHDである可能性は25~30%
・両親のどちらか一人がADHDである場合、子どももADHDである可能性は50%


・兄弟にADHDの人がいる場合、ほかの兄弟がADHDである確率は、
 兄弟にADHDの人がいない場合の5~7倍
 

上記のように、遺伝の確率については、様々な意見があります。


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しかし、一卵性双生児であっても、二人とも注意欠如・多動性障害である確率は、
100%ではありません。

遺伝が要因であれば、一卵性双生児が二人とも障害を抱えている
確率は100%になるはずです。
 

また、家族間でも、注意欠如・多動性障害の症状の強さや、症状の出方は異なります。



このことから、注意欠如・多動性障害を発症する原因は、遺伝だけではないことがわかります。


 

注意欠如・多動性障害の場合、「遺伝する」というよりも、
「家族性」といったほうが近いと思われます。


親兄弟間で注意欠如・多動性障害が多発する確率は、若干高くなっているのは事実でしょう。


ですから、家族間で障害の傾向が現れやすい、という方が適切です。

 

「ガン家系」のように、ほかの要因が重なったときに、
注意欠如・多動性障害の症状が出やすい家系、
という風にとらえるのが適切ではないかと思います。

 

注意欠如・多動性障害では、ノルアドレナリンやドーパミンの働きの
アンバランスが指摘されています。


それらの脳内の神経伝達物質の働きに関する体質は、
受け継がれることが指摘されています。
 

統合失調症やうつ病など、ほかの精神疾患においても、
神経伝達物質の働きに関する体質が受け継がれることが指摘されています。

 
ですから、体質的に注意欠如・多動性障害の症状が出やすい
家系というものがある可能性は、否定できません。

 

遺伝する可能性を否定することはできませんが、
必ず遺伝するとも言い切れないのが現状です。


遺伝するかどうかを悩むよりも、子どもに症状が出る可能性を考えておき、
症状が出た時に、早期に適切な対応ができるようにしておくことこそが、
大事なことではないかと思います。