ADHDに関する研究がだんだんと進んできて、
少しずつですが、その原因が解明されてきています。
 

現在、まだ詳細な原因はわかっていませんが、
ADHDの要因として、以下のようなものが挙げられています。



【ADHDの要因】



・生まれつきの脳の体質
・脳の発達の偏り
・環境要因
・遺伝的要因


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生まれつきの脳の体質とは、ノルアドレナリンやドーパミンなどの
神経伝達物質の働きの異常のことを指しています。
 

また、画像診断の技術の向上により、ADHDの人は健常者に比べ、
脳の前頭前部、尾状核、淡蒼球、小脳虫部といった、衝動や行動、
注意に関する部位が小さいことがわかっており、脳の発達の偏りが証明されてきています。

 

さて、ここでは神経伝達物質の働きの異常について、取り上げてみましょう。


 
ADHDの人では、神経伝達物質であるノルアドレナリンやドーパミンの働きが
不足していることがわかってきています。また、セロトニンの不足も
関係しているのではないかという指摘もあります。



【神経伝達物質について】



★ドーパミン



 
ドーパミンとは、快感や多幸感、意欲、運動の調節に関わる神経伝達物質です。


新しい刺激や、初めて経験する事柄に対する感動によって、
ドーパミンの分泌が増えるといわれています。


ADHDの人では、ドーパミンの働きが悪いため、無意識に体を動かしたり、
興味の対象をどんどん変える(不注意)ことで、ドーパミンの分泌を
増やそうとしているのではないかと考えられています。
 

また、ドーパミンはノルアドレナリンやアドレナリンの前駆物質でもあります。


★ノルアドレナリン

 

ノルアドレナリンは、神経を興奮させる性質を持つ神経伝達物質です。


やる気や意欲を高めます。また、不安や恐怖、緊張などの精神状態にかかわり、
「怒りのホルモン」とも呼ばれ、ストレスに反応するといわれています。
 

ノルアドレナリンが放出されることで、脳や体が覚醒し、心拍や血圧が上がります。

注意力や集中力、判断力、作業効率も高まります。

長期記憶や学習能力が高まるともいわれています。


また、体を緊張状態、興奮状態にし、緊急時には痛みを感じなくする作用もあります。

ストレス耐性を高めるとも考えられています。


★セロトニン

 

ドーパミンやノルアドレナリンと並び、重要な役割を果たす三大神経伝達物質の一つです。

「幸せホルモン」とも呼ばれています。
 


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セロトニンは、ドーパミンやノルアドレナリンの暴走を抑え、
心のバランスを整える働きをしているといわれています。
 

セロトニンが不足すると、うつや不眠になりやすいといわれています。

 

ADHDでは、主に覚醒に関わるドーパミンやノルアドレナリンの働きが
悪いことが指摘されており、薬物治療では、ドーパミンやノルアドレナリンの
働きを調整する薬が使われます。
 
それらの薬がよく効くことから、ADHDの症状には、ドーパミンや
ノルアドレナリンが深くかかわっていることがわかっています。



【ADHDの薬】



★コンサータ

 

コンサータは、神経伝達物質であるノルアドレナリンやドーパミンを活性化する作用があります。

中枢神経を刺激し、精神活動を高めます。



★ストラテラ

 

ストラテラは、「選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤」というタイプの薬で、
ノルアドレナリンが神経以外の物質に取り込まれてしまうのを防ぎ、
神経に取り込まれるノルアドレナリンの量を増やします。

そうすることで、集中力や注意力を高めます。

 

コンサータやストラテラを服用した人の体験として、以下のような効果が報告されています。


・すっと気持ちが落ち着く
・ずっと眠っていた脳が、ようやく目覚めたように感じる
・作業に集中することができ、効率が上がった
・周囲の余分な刺激に過剰に反応することが減った


・頭の中が静かになった
・手足のもぞもぞ感が減って、じっとしていられるようになった
・衝動が抑えられるようになった


など

 
以上のことから、ADHDとドーパミン、
ノルアドレナリンには深い関係があることがわかります。

 

セロトニンとADHDの関係ですが、
今のところ、関連がありそうだという研究レベルのようです。
 

ADHDの人は、もともと脳の体質としてセロトニンが不足しているのか、
二次障害によって、セロトニンのバランスが崩れているのか、
どちらが先なのかがわからない、という問題があるようです。
 

しかし、セロトニンはドーパミンを適正な量に保つ働きがあるといわれていますから、
何らかの関連があるこが考えられるでしょう。

 
セロトニンは、日光を浴びたり、適度な運動をしたり、トリプトファンを
含むバランスの良い食事をすることで分泌を促すことができます。

それでも足りない場合、SSRIなどの抗うつ薬を使い、
セロトニンの不足を補うこともあります。