ADHDなどの発達障害が知られてくるにつれて、乳幼児期に適切な環境に
置かれていなかった子供たちに、「第四の発達障害」ともよばれる、
発達上の不具合が生じることが、注目されるようになってきました。
 

ここでは、第四の発達障害の原因の中でも、特に注目されている
「愛着障害」について取り上げたいと思います。


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まず、ADHD、愛着障害、それぞれについて簡単に説明します。



【ADHDとは】



 
ADHDは、自閉症スペクトラム障害などと同じ、発達障害の一種です。


生まれつきの脳の機能障害で、その特性は成長とともにマイルドになることはあっても、
完治することはありません。



ADHDは、持って生まれた脳の性質、脳の発達の偏り、成育環境、遺伝など、
様々な要素が複雑に絡み合って発症します。


脳の前頭前部、尾状核、淡蒼球、小脳虫部という、行動や衝動、
注意力をコントロールする部分が、健常者よりも小さいといわれており、
「多動性」「衝動性」「不注意」といった、行動上の困難が見られます。



【愛着障害とは】

 

乳児や幼児は、不安になったときに保護者(親など)に近づくことで安心感を得ます。

怖いことがあったとき、不安な時に泣いて抱っこをせがむ子どもを
思い浮かべていただければ、お分かりいただけると思います。



子どもは、不安な時、怖いときに大人に助けを求めます。

大人はそれに答え、守りなだめることで、「この人のそばにいれば安全だ」
ということを子どもに教えます。


そうして愛着関係を繰り返し経験することで、子どもは徐々に、
他者に対する安心感を獲得していきます。


愛着の形成、つまり愛着システムの健全な発達というのは、乳幼児期において、
もっとも大切な心理的・社会的発達の課題の一つです。

愛着の形成がうまくいかないと、後々、人間関係を築くことに対し、困難が生じます。


愛着の形成が、何らかの理由によりうまくいかなかった子どもに、
愛着障害が発症するといわれています。


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つまり、乳幼児期に得られるはずだった愛情を、
充分に受けられなかったことで、発達に影響が出るのです。

 
愛着障害には、2つのタイプがあります。


★抑制型



 
人に対して過度に警戒を抱き、他人を全く信用しない


★脱抑制型

 

特定の人に対して愛着を示す能力が極端に欠け、知らない人にも
過度になれなれしい態度をとる。過剰に人に執着したり、依存したりする



【愛着障害の原因】


 
安心を得たいという、子どもの基本的な情緒的欲求、基本的な身体的欲求が
長く無視されたり、世話をする人がコロコロ変わったりすることで、
安定した愛着の形成が阻まれることが原因といわれています。
 

例えば、親に捨てられた、事情により親と離れて暮らしていた、
親に放っておかれた、親の離婚やケンカを経験した、親が再婚した、
親も愛着障害であった、といったことが原因になると考えられています。

 

愛着障害の予後は様々で、介入が早期であればあるほど、回復しやすいといわれています。


回復には、もらえなかった愛情を取り戻す、
子どものころからやり直す必要があるといわれています。



【ADHDと愛着障害の違い】


 
ADHDは生まれ持った脳機能の障害であり、先天的なものです。

100%完治することはありません。

それに対し、愛着障害は生まれた後の愛情不足が原因の、後天的なものです。

安全な場所(愛情を充分にもらえる場所)ができれば、症状は改善します。



【ADHDと愛着障害の関係】

 

ADHDと愛着障害では、似たような症状が出ることがあります。


症状だけを見ていると、専門家でも区別がつかない場合も多いといいます。


また、ADHDなどの発達障害があるために、親にうまくかかわってもらえず、
愛着障害を併発してしまっている場合、鑑別が非常に困難になります。



乳幼児期に親と子の適切なかかわりがあり、愛着関係が充分に育っていれば
発達障害であると判断できますが、愛着関係に問題がある場合、ADHDによる
症状なのか、愛着障害から来る症状なのか、見分けが非常につきにくいのです。


ただし、愛着障害が原因となっている場合、不適切な環境から子どもを切り離すことで、
症状が改善するともいわれています。